社長のブログ

2022/10/13 13:51


4月20日、歴史的な早さで始まった本年度の京都府産宇治茶、一番茶の取引も、一部てん茶の取引を残すのみとなっています
鹿児島では二番茶の取引も最盛期、宇治でもまもなく二番茶の煎茶の取引が始まります。
振り返ると暖冬、春先の冷え込み、その後シーズンに突入してからの高温多雨と気候に振り回された茶期となりました。
その中でも高品質な茶を生産してくださった生産農家の皆さんには頭が下がる想いです。

今年は特に玉露で品質の優れたものに出会うことが出来ました。
そしてその一部は明らかにいわゆる「手摘み」を品質面で凌駕する「ハサミ刈り」でした。
昨今、高品質なお茶の代名詞として「手摘み」を使う方が多いですが、手で摘むことが優れているわけではなく(もちろん葉を傷つけにくい、というメリットはありますが)、それよりも「手で摘むしか摘み採る方法のない自然仕立ての茶樹園で年1回しか摘採しないこと」が重要なのです。
それをハサミ刈り園で実行した優れた品質の玉露に何点が出会ったのです。

1点は京都府の北部に位置する綾部市で栽培された「鳳春」。
もともと香気のよい玉露で有名な産地ですが、ヤブキタ種にかたより、淡白な印象のあった産地ですが、そこで品種改良されたこの茶はもしかしたら今年京都府で栽培されたどの「手摘玉露」よりも濃厚な旨味を持っていたと思います。

もう1点は煎茶産地和束町で若手の生産農家が果敢に挑んだ「宇治ひかり」。
今年は宇治ひかりの「当たり年」だったと思いますが、はっきりと周辺の「玉露産地」を脅かすような品質を持っていたと思います。とにかく濃厚。
最初は「煎茶みたい」と揶揄されていた数年前の和束産玉露ですが、特級の品質が生産されはじめて居ます。

最後は宇治田原町の「こまかげ」。
香気に優れるものの、葉が小さく扱いづらいと敬遠されがちな古典品種ですが、宇治茶発祥の「駒の足影」伝説の地、木幡において
茶を商うものとしてその名を冠する茶を大切にしたい、という思いで、十数年前より「こまかげ」種の玉露をオーダーメードで仕入はじめました。
年々、「幣社好み」になっているとは感じていましたが、本年のそれは本当に品質の高い玉露となっていました。

そんなことに想いを馳せていた本日、すばらしい知らせが届きました。
雑誌Discovery Japanの最新号の特集は「世界はすでに日本茶の魅力にきづいている」。
その中で各界の著名人が自らのお気に入りの茶を紹介するページがあります。
その中で今日本各地の地域おこしに関わり、トレンドの案内人として著名なグッドモーニングス代表の水代優さんに、幣社の自園玉露を「特別なときに飲むお茶」として取り上げて紹介していただきました。ありがとうございました。

話題が宇治抹茶に集中しがちな昨今ですが、宇治は玉露にも煎茶にも品質の高いものがたくさんあります。
それを大切にすることがいまの時代を担う我々の使命です。

※2016年6月7日分再掲載

※現在こちらの商品は取り扱いがございません(2022年現在)