社長のブログ

2022/10/06 17:27

日本茶の抽出には軟水が適しているといわれています。弊社のHPにもそのように書いておりますし、私もこれまでのセミナーなどでそのように話させて頂いてまいりました。茶の成分であるカテキンが硬水に含まれるマグネシウムと結合して、茶の香味に影響を与える、というのがその理由です。

少し調べてみますと、なるほど、平均値では日本の水道水は概ね、硬度20から80の間に分布して、日本の水はお茶の抽出に適していると言えるかと思います。しかさらによく調べてみますと、平均値は平均値であってそのバラツキはなんと硬度2から304と大きく、決して全てが軟水だと言える状況にはありません。香味にこだわったコンセプトブレンドを開発する中で、全国のお客様から寄せられる感想が余りに大きいことに疑問を持ってこの調査がスタートしました。

先ずは自分たちで体感しよう、と行ったのが写真の実験。弊社の全国の販売員が集まった社内研修で全国の水を持ち寄って、煎茶松北を同じ条件で抽出。その結果を全員で官能審査しました。札幌、仙台、新潟、千葉、恵比寿、東京銀座、東京日本橋、名古屋、京都、大阪、高松、松山、広島、エビアン、アルカリイオン水と15種類の水で比較。その結果ですが、バラツキの大きさに社員全員が驚愕の表情。頭では理解できていても、実感するのはまた違うものです。旨味、渋み、さわやか、まろやか、すっきり、コク。色々な表情に出会いました。それは単に水の硬度だけで語れるほど単純なものではありませんでした。

しかし、考えてみればそれは当たりまえのことで、自然の恵みである水はその土地で様々。そしてまたお茶もしかり。だからこそ、その土地特有の喫茶文化が生まれ育ってきたのですから。確かにいわゆる軟水は日本茶の抽出にむいた水であるかも知れないけれど、それでなけらばならない訳ではないし、ましてやお茶の入れ方も1つであることもない。そんな思いもあって弊社は「標準的な入れ方」という表現を使わせて頂いております。
「茶葉の性質」x「水の性質」x「茶葉の量」x「湯(水)の温度」x浸出方法x浸出時間。この5要素がお茶の味を創り出すわけですが、そのパターンを模索するのもお茶の楽しみである、と思うのです。

※2014年1月21日分再掲載