先日よりお知らせしている弊社の新商品「宇治煎茶　花音　かのん」それはもう５年以上前のこと、一枚の絵に出会ったことに始まります。その絵には花の絵が描かれ、この様に記されていたのです。「良質な茶は花の香りがする」。茶の仕入をして、毎日無数の茶葉を鑑定していると様々な香りに出会います。フルーツの様な香り、それはマスカットであったり、メロンであったり、柑橘類であったり。また、野菜の様な香りや海藻のような香気も。そして、野に咲く花の様な香りもあります。爽やかな風にのって漂う華やいだ花の香り。私の好きな香りの一つです。

そんな華やいだ花の香りを持ち、それでいてしっかりとしたコクのある煎茶、そんなブレンドを実現をすることが出来ないか、そう思ったのが最初でした。色々な農家にお願いして実験を繰り返す日々。しかし、なかなか思ったような香味は実現しません。そこで毎日市場に上場される数百点の茶葉の中から、花の様な香気を持つ茶葉を集めることを始めました。そうして実現したのが弊社のブレンド、「宇治煎茶　ハナカ」です。独特の爽やかな香りを持った煎茶です。しかし、当初の目標である「華やいだ花の香り」には道半ば。漢字ではなくカタカナでハナカとしました。

そんなある日、ある方に誘われたお茶を楽しむ会で運命的な出会いがありました。その会に参加されていた和束町のある生産者の方が弊社と同じような取り組みをされていることを知ったのです。そうして迎えた２０１３年の茶期。様々な製法を試す日々。製造した荒茶は１０種類、そうして生まれた茶葉は当初の目標通り、「華やいだ花の香り」漂う茶葉となりました。一煎、二煎と煎を重ねるごとに表情を変えながら、爽やかな花の様な香りが漂います。名前は音楽のカノンのイメージにも重ねて、今回は自信をもって漢字で「花音　かのん」としました。

いわば「花音」と「ハナカ」は姉妹のブレンド。華やいだ花様香の「花音」と、同様の爽やかさを持ちながらマイルドな香味の「ハナカ」。ハナカはすでに販売しております。「花音」は１０月２日より発売します。