社長のブログ

2022/10/05 15:09


この写真は以前にもご紹介させていただいた「茶壷口切の儀」に使う茶壷の写真です。100年以上に渡って繰り返された口切の結果、幾重にも重ねられた封印が年輪のようになっています。その間には関東大震災などの数々の自然災害や太平洋戦争、そして最も新しい記憶では今回の地震と津波まで様々なことが起こりました。

その中に我々の日々の生活と喜びと悲しみがあります。私どもお茶をお客様にお届けすることを生業とする者は、日々、お茶の味を創り、吟味し、お客様にご愛顧いただき、また励みを繰り返して日々を過ごさせていただいております。この度の震災でも色々なことが有りましたが、北は北海道から南は沖縄、そして世界中のお客様にお茶をお届けさせていただきました。そして被災された各地の皆さまにも変らずご愛顧をいただきました。伏して御礼を申し上げます。誠にありがとうございます。

こんなことを考えるとき、私はいつも以下の文章を想い返すのです。100年近く前にアメリカのジャーナリスト、William Ukersウィリアムユーカースが著書「ロマンスオブティー」の最後に記した言葉です。
「毎日を懸命に人間らしく生きる、そんな人々の心と日常に潤いを与えてくれるもの、それがお茶である」
これは私の意訳ですが、お茶はそれほど素晴らしいもの、その素晴らしい天の恵みをお客様にお届けし、茶壷口切の年輪を重ねるように年月を重ねさせていただくことの喜びに感謝します。

松北園茶店は本日で年内の通常営業を終了させていただきます。本年のご愛顧に社員一同、心より感謝申し上げます。誠にありがとうございました。皆さま、健やかな新年をお迎え下さいませ。

株式会社松北園茶店
代表取締役社長 杉本 剛

※2011年12月28日分再掲載