社長のブログ

2022/10/05 14:08

「このお茶は新茶ですか?」
お客様から、こういった質問を頂戴することがあります。
我々、茶業者の間違った宣伝で、「新茶こそが優れたお茶である」との誤った認識がお客様の間に広がっていることが背景にあるようです。(もっとも、茶業者の間にもそういった傾向があるようですが)

本来お茶の美味しさとは旨味と渋味が複雑に絡みあい、それぞれの香気と相互に作用して決まっているものです。

繊細ですから、抽出の仕方、水、また体調等によっても変ってしまいます。
そう、お茶の良さはその茶葉が新茶か古茶かによって決まるものではないのです。

「では、松北園も新茶を売ってるの矛盾しませんか?」こんな声が聞こえてきそうですが、では「新茶の楽しみ」とは何でしょうか?

緑茶は畑で摘採されたあと、直ぐに蒸気で蒸して殺青を行い、その後乾燥しながら揉み上げます。
この時、出来あがったお茶には独特の青い爽やかな香気の「青葉アルコール」が含まれています。
この香が初夏の到来を告げるものとして、古くから親しまれてきました。これが新茶の楽しみです。
青葉アルコールは揮発性がありますので、いつまでもその茶にあるわけではありません。

また、お茶は夏を越すことにより、渋味の元であるカテキン類が化学変化を起こして味に麿みが出て、美味しく感じられるようになります。
いわゆる熟成です。

以上の様な理由から、松北園が新茶を販売するのは6月中を期限として、冒頭の様なお客様の質問には「松北園のお茶は新茶も古茶もありません」とお答えしております。

※2011年8月2日分再掲載