社長のブログ

2022/09/15 14:19

本日晩秋の入り口を告げるお客様がお見えになりました。そのお客様とは菅原道真で有名な北野天満宮よりのお客様。北野天満宮では秀吉の大茶会に由来した有名なお献茶祭が毎年執り行われています。http://www.kitanotenmangu.or.jp/news/14.html
それに先立ち、毎年今頃の時期に北野神社よりお献茶式に使用するお茶へのご挨拶にお見えになります。毎年、その時期が晩秋を迎えるこの時期にあたり、弊社は歳末商戦に向けた準備が忙しくなってきます。

このお献茶祭に用いるお茶は府下8か所のお茶より茶壷で納められますが、お献茶に使われるのは常に「一の壺 木幡」。由緒あるお献茶祭において、非常に栄誉あることと感謝しております。

ところで、「口切りの儀」に使われる茶壺とはどのようなものかご存じでしょうか?いわゆる「ルソンの壺」が茶壷につかわれ、抹茶の原料となる「テン茶」をつめて、蓋をして和紙をのりづけして封印します。その封印を
小柄で切るのが「口切り」です。毎年、上に重ねてまいりますので、その切り口は下のように「年輪」を作っています。



この厚みだけでもいかに歴史あるかがおわかりいただけますが、本年の準備にあたり、改めてその歴史を探ってみました。400年程の歴史があるそうですが、この茶壷だけでも、例えば、これだけの「年輪」が重ねられています。

箱の中の詰め紙が余りに古いのでよく見てみると使用されている新聞紙はなんと「大正13年10月」です。


それだけでも驚いていたのですが、壺の中に納めたお茶について記録する「入り日記」は一番古いものが何と「明治15年11月」とあります!恐らくはこの時に道具が新調されたことかと推察します。詰主にある松尾嘉平治とは私の先祖の一人です。(以前のブログで記した松北園の名の由来は、松尾家の北家。また弊社の屋号「ヤマカ」の「カ」は嘉兵衛のカです)

それにしても、我々茶業者は「毎年のこと」として携わっているわけですが、改めて紐解いてみると自分達が壮大な時空の1点に立たせて戴いていることを認識します。非常にありがたいことです。

※2010年11月9日分再掲載