2022/09/12 12:00
この時期は宇治の茶商にとってもっとも悩ましい季節です。新茶の進捗状況とお茶の品質と相場展開を睨みながら仕入れを進め、新茶を待っていてくださるお客様にお届けすることを考え、同時に年間の安定した品質を目指すことも大切です。
こんな時期は工場での朝礼での言葉も厳しくなりがち。少し反省しつつ、ベテランの女性社員に「今朝の僕の朝礼って”機嫌悪いから近づくな”って感じだったかな?」って聞いてみると、あっさりと肯定の返事が返ってきました(苦笑 しかし、それもこれも全ては美味しいお茶をお届したいから。
昨日は早朝より各農家より「持ち込み」によりお茶の相対取引を行い、400キロ程度のお茶を買い付け。春先の低温で苦労を重ねた姿がお茶にも感じられます。その苦労をねぎらう価格を、と思うものの、お客様にお届けするための適正な価格とは?と自問し続けています。農家さんとの会話も辛らつになりがちです。
仕入れたお茶を早速、精選加工にかけるわけですが、普段ですと大体1トン程度をロットとするのですが、この時期のお茶はとにかく繊細。赤ん坊を育てるように、それぞれのお茶をバラバラに微調整をしながら仕上げていきます。弊社の仕入チームメンバーで一番若い社員がこのセクションの責任者をしていますが、彼の力が発揮される時です。
そうして、3つ目となるロットの加工方針を相談しながら頭の中では「この方針でいいのか?」「今朝の値入れはあれでよかったのか」「明日の入札はどうなるんだろう」と色々なことが頭をよぎります。エイッ、こんな時は考えても駄目、自分の足で歩け。そう思い立ち、5分後には会社を出発して産地に向かいました。宇治市内から宇治田原、滋賀の朝宮、和束、南山城、奈良の月ヶ瀬、三重の北勢、そして南勢へと一挙に近畿圏の茶産地を見て歩きました。力が湧いて来ました。お茶は元気に育っています。
さて、本日、子供の日は3トン程度の上場とみます。そろそろ晴天の好影響を受けて色乗りの良い品が増えてくることでしょう。弊社も本腰を入れて仕入れを進めます。